研究課題/領域番号 |
09044226
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
嶋田 拓 広島大学, 理学部, 教授 (70011559)
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研究分担者 |
弥益 恭 埼玉大学, 理学部, 助教授 (60230439)
WILT Fred カリフォルニア大学, バークレー校, 教授
中坪 敬子 広島大学, 理学部, 助手 (40192760)
赤坂 甲治 広島大学, 理学部, 助手 (60150968)
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キーワード | ウニ胚 / 骨マトリクスタンパク質 / SM30 / Ets / 一次間充組織細胞 |
研究概要 |
ウニの形態形成におけるEtsの機能を探る目的で、ドミナントネガティブを行った。その結果、外胚葉、内胚葉、二次間充織細胞の分化には何ら影響がなく、一次間充織細胞の分化だけが阻止され、骨を欠く胚になった。一方、Etsの強制発現胚では胚のほとんどすべての細胞が運動性を獲得し、一次間充織細胞特異的に発現する骨マトリクスタンパク質SM50を合成した。さらに血清を加えることにより骨が形成された。 動物半球の細胞(アニマルキャップ)は外胚葉になるように運命づけられている。しかし、Etsを強制発現させた胚のアニマルキャップ細胞は一次間充織細胞に運命を変え、骨を形成することが確認された。また骨のマトリクスタンパク質をコードするSM50とSM3ほ伝子が標的遺伝子であり、正の転写調節領域にEtsが結合することも確認された。これらの結果から、ウニ胚ではEtsは一次間充織細胞の分化のカギとなる転写因子であることが証明された。 アフリカツメガエルではEtsは遊走性の神経冠細胞で発現している。また、ガンの浸潤・転移に際して発現するプロテアーゼが標的遺伝子であることも明らかになってきている。一次間充織細胞がEtsの発現によって胞胚壁からの接着を断ち、遊走を始めることも考えあわせると、細胞接着の切断と遊走性の獲得に関する遺伝子の制御が、幾つもあるEtsの機能の中の主要な役割の一つと考えられる。
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