研究課題/領域番号 |
09044229
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
井上 勲 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (80001973)
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研究分担者 |
QUENTIN Bone プリムス海洋生物研究所, 名誉教授
ROLAND Bourn パリ大学, 生理学, 教授
羽生 義郎 工業技術院, 電総研, 主任研究員
筒井 泉雄 国立生理学研究所, 生体膜, 助手 (80202183)
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キーワード | 骨格筋 / 興奮・収縮連関 / DHP受容体 / 分子進化 / 系統発生 / 個体発生 |
研究概要 |
1.仮説「格筋L-型カルシウムチャネル分子(DHP-受容体)の系統発生的進化が個体発生の初期過程において繰り返されている」を電気生理学的、薬理学的に検証した。薬物として黒蛇毒calciseptine(Cal)を用いた。このペプチド毒は心筋、平滑筋などのL-型カルシウムチャネルを特異的に阻害するが、骨格筋L-型カルシウムチャネルに対しては例外的に作用がない。系統発生的進化直前に位置する頭策類Amphioxus横紋筋細胞のL-型カルシウムチャネルは50nM Calで完全に阻害された。 2.マウス胎児成長過程における骨格型L-型カルシウムチャネルチャネルに対するCalの効果を調べた。妊娠14日目胎児において、CalはL-型カルシウムチャネルの60%を阻害した。阻害の割合は生長とともに減少し16日目では25%、18日目では0%であった。 3.MDGマウス骨格筋は骨格筋型DHP-受容体α1サブユニットをコードする遺伝子に欠損があり骨格筋型カルシウムチャネルおよび膜電位センサー機能が発現されない。MDG筋から僅かなL-型カルシウムチャネルが検出されるが、このチャネルはCalで完全に阻害される事が判明した。仮説は電気生理学的、薬理学的には支持された。 4.仮説を分子生物学的に検証するため培養MDG筋細胞をフランスから日本に持ち込み増殖、保存した。これで我々はDHP-受容体の系統発生的進化点の直前直後に位置するAmphioxusと無顎類Lampreyの筋標本、個体発生初期過程の筋標本を得た。すでに一次構造が判明しているマウス骨格筋DHP-受容体とあわせると系統発生、個体発生におけるDHP-受容体分子進化の全情報を得る手がかりを得た。
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