研究課題/領域番号 |
09044230
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下東 康幸 九州大学, 理学部, 教授 (00211293)
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研究分担者 |
RIITANO Dani イタリア国立衛生研究所, 研究員
MOLINARI Pao イタリア国立衛生研究所, 研究員
中馬 吉郎 九州大学, 大学院・理学研究科, 学振特別研究員
野瀬 健 九州大学, 理学部, 助手 (10301334)
COSTA Tommas イタリア国立衛生研究所, 主席 研究員
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キーワード | 受容体 / 鎮痛 / オビオイド受容体 / エンケファリン / 内臓リガンド / 受容体活性化 |
研究概要 |
近年、オピオイド受容体を初めとする7回膜貫通型受容体の構造が相次いで解明され、リガンド結合部位を特定する研究成果も報告されるようになった。しかし、リガンドの結合したのちの受容体分子の情報伝達機構の解析については有効な研究手法がなく、手着かずの状態である。本研究では、「オピオイド受容体にリガンド・エンケファリンを内蔵させる」というユニークな発想により、分子機構の解明をめざす。今回、エンケファリン内蔵の新規d型変異受容体の作製と受容体応答解析を集中的に実施した。前年度にエンドルフィンN端8残基を挿入したδ型とμ型の変異受容体をCHO細胞に発現して調べたが、外部リガンドの活性化は受けたものの、酵素・トロンビンでは完全な活性化には至らなかった。そこで今年度は、エンケファリン(YGGFL)を挿入し、さらに細胞膜外N末端領域を基本的にトロンビン受容体のものを用いることにした。このδ型オピオイドキメラ体(PADOR)を作製、COS細胞で発現させた。そして、通常のδ型受容体と同様にアゴニストぺプチドのデルトルフィンIIが結合し、受容体は活性化されることを結合試験ならびにGTPγS結合活性測定により確認した。次に、酵素・トロンビンでの活性化を意図して、トロンビン処理後に内蔵エンケファリンが露出されていることを確認するためウエスタンブロッティングを行った。しかしながら、この抗体検出法では末端内蔵エンケファリンを確認することはできず、現在他の方法で検討中である。なお、PADORはアルカロイドリガンド・ナルトルインドールに対して天然型のδ受容体と同程度の親和性を示すが、ペプチド性リガンドであるデルトルフィンIIに対する親和性は10倍以上低下するという結果である。これにより、細胞膜外N端領域がアルカロイドとぺプチドを識別するために重要な役割をしていることが強く示唆された。
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