研究概要 |
今年度は,清水の派遣とMitchell博士の招聘を中心に,綿密な連携のもとで研究を展開した. Rmelpは,IME1の転写を抑制することによって,出芽酵母の減数分裂開始を制御している.最近我々は,Rmelpによる転写抑制機構を「activator exclusion at a distance」と名付け,Rmelpが転写抑制クロマチンドメインを形成するというモデルを提唱した.このドメインにおける蛋白質間相互作用ネットワークを解明するために,Rmelpと相互作用する因子の遺伝学的スクリーニングに行なっている.現在までに,クロマチンリモデリング関連因子とRNA polymerase II holoenzeyme関連因子が候補として上がってきた. 一方では,Rmelpの機能ドメインを解析した.300アミノ酸残基から成るRmelpにおいて,DNA結合ドメインは171-300残基にマップされ,DNA結合には3つのZn-fingersだけでは十分ではなく,C-末端285-300残基が必須であることが実証された.さらに,点変異蛋白質の解析から,このc-末端領域が両親媒性a-helixを形成して,DNA結合ドメインを安定化することが示唆された. さらに,ヒストンの脱アセチル化による転写抑制機構を明らかにする目的で,Ume6pによる転写抑制におけるプロモーターアクセッシビリティーを調べた.Ume6pは,コリプレッサーSin3p,ヒストン脱アセチル化酵素Rpd3pと複合体を形成して,IME1の下流で働くIME2の転写抑制に関与している.Ume6pによって転写が抑制されている状態においても,activatorsは転写活性の状態と同じようにUASに結合していることが示された.この結果は,ヒストンの脱アセチル化は,activatorsのアクセスには大きな影響を及ぼさないと結論でき,新規な抑制機構の存在が示唆された.
|