研究概要 |
酵母Yarrowia lipolyticaの染色体外自律複製プラスミドによる形質転換には、複製起点(ORI)と動原体(CEN)の両方が必要であることが今までの研究で分かっている。Y.lipolyticaの6本の染色体の動原体のうち、CEN1,CEN3,CEN5(以前はCEN4に分類)とその近傍の複製起点を含む断片が以前にクローン化された。CEN配列はおそらくプラスミドの分配に必須であると仮定されているが、分配のどの段階に必要とされるかは分かっていない。今回、ショウジョウバエの核マトリックスへの結合を調べたところ、CENは結合し、ORIは結合しなかったが、ショウジョウバエ由来の核マトリックス結合配列(SAR)はCENの機能をもたないことから、核マトリックスへの単純な結合ではCENの機能は説明できないことが示された。 複製起点のみをもつプラスミドベクターを用いて、ゲノムDNAよりショットガンクローニングによって得られた新しい配列を解析した結果、CEN2とCEN4であることが分かった。もう一つ別に得られたクローンはCENIの近傍の配列であったが、最少のCEN1とは重なっていなかった。この事実はY.lipolyticaの動原体が領域的なものであり、Schizosaccharomyces pombeや高等真核生物に似ていることを示唆する。 動原体領域に保存されている配列のうち、3種類の保存されているG塩基を部位特異的変異したところ、1つの塩基置換はCEN機能を喪失させた。より限定レたプラスミドを用い、CEN保存配列の機能を解析中である。
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