研究課題/領域番号 |
09044256
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
倉林 正彦 群馬大学, 医学部, 助教授 (00215047)
WILIOX Josia エモリー大学, 医学部, 准教授
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キーワード | 老化 / plotho / in situ hydridization / 転写因子 / BTEB2 / HEX / 平滑筋 / 形質変換 |
研究概要 |
個体老化の抑制機能をもつklotho遺伝子はβグルコシダーゼに約30%のホモロジーをもつ膜蛋白であるが、同時に分子量がやく7万の分泌蛋白としても存在する。これは腎尿細管に最も大量に発現する。これまでの検討から、klotho蛋白は、血管内皮細胞のNO産生を高めることにより、血管保護効果を示す液性因子と考えられた。本研究において、ヒトの臨床例と動物モデルにおけるklotho伝子の発現をin situhybridizationにより解析した。さらに血管病変で発現誘導される遺伝子の転写制御に関与する転写因子BTEB2とHexの血管における発現を同じくin situ hybridizationで検討した。 まずklotho mRNAは腎遠位尿細管と脳脈絡糟で強く発現することが示された。一方、血管内皮細胞、平滑筋細胞ではPCRレベルでは検出されるものの、in situ hybridizationでは陰性であった。このことがら、klothoは腎と脳で主に産生され、分泌蛋白として血管系の機能を制御することが示唆された。ヒトとラットの腎不全ではklothoの発現は低下した。すなわち腎不全病態における血管障害にklotho低下が関与する可能性が考えられた。 平滑筋の形質変換を司る転写因子BTEB2とHexはいずれも増殖する内膜平滑筋細胞で誘導された。しかし内膜肥厚に先行して、外膜にこれらの転写因子陽性細胞が集積し、徐々に内膜遊走細胞が陽性となった。これらより外膜に出現するBTEB2とHex陽性細胞が直接もしくは間接的に内膜平滑筋の形成に関わる可能性があると考えられた。
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