研究課題/領域番号 |
09044256
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
倉林 正彦 群馬大学, 医学部, 助教授 (00215047)
WILCOX Josia エモリー大学, 医学部, 准教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | Klotho / 老化 / 内皮細胞 / NO / BTEB 2 / Hex / 平滑筋 / 血管病変 |
研究概要 |
早期老化マウスklothoは挿入突然変異によりklothoと命名された遺伝子の変異により生ずる。klotho mRNAは、腎臓に強い発現が見られるが、その他の臓器における発現は必ずしも明らかでない。最近、cDNAの解析からklotho蛋白は分泌蛋白としても存在する可能性が明らかとなった。本研究では、とくにklotho遺伝子と、血管細胞の形質変換に関わる転写因子の遺伝子発現の解析、ならびにklothoマウスの血管機能解析を目的とした。免疫組織染色と生理解析は主に群馬大学で、in situ hybridizationを米国エモリー大学で行った。 in situ hybridizationではklotho遺伝子の発現は尿細管と脳の脈絡叢に認められた。血管系ではRT-PCRにおいて血管平滑筋で検出されるものの、in situ hybridizationでは陰性であった。免疫染色でも同部位に発現を認めた。また腎不全モデルとヒトの萎縮腎では尿細管のklothoの発現はまったく認められなかった。さらにklothoへテロマウスでは血管内皮細胞由来のNO産生の低下が見られるが、これは野生型との体結合により改善した。すなわちklotho自体もしくはその代謝物が液性因子として内皮細胞保護効果を示すと考えられた。またアンジオテンシン変換酵素阻害薬によりへテロマウスの内皮機能は改善することから、klothoとレニンアンジオテンシン系は拮抗関係にあると推測された。 また胎児型ミオシン重鎖遺伝子の転写因子であるBTEB2とHexは血管障害後に増殖する平滑筋細胞と外膜細胞で著明に誘導された。すなわち血管病変で活性化された細胞の同定にこれらの転写因子がすぐれた分子マーカーとなることが示された。とくに外膜で最初に誘導されることから、内膜形成における外膜細胞の役割を今後さらに検討する必要のあることが示された。
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