研究課題
LDL受容体遺伝子ファミリーは、LDL受容体の基本構造を共有し、apoE richリポ蛋白をリガンドとする受容体機能を保持し、さらに近年、血中の様々な物質を取り込む多機能受容体であることも示されている。我々が同定したLR11(LDL receptor relative with eleven binding repeats)は、新しいモザイク構造を有し、主に脳、腎、肝に発現する約250kDaのファミリー受容体である。本研究により、LR11は、apoE richリポ蛋白に加え、ファミリーシャペロンRAP(39kDa receptorassociated protein)と結合し、他のファミリーに共通したリガンド結合能を有することが明らかになった。一方、その特徴的モザイク構造はヒトに加え、ウサギ、マウス、ニワトリ間で80%以上の高いアミノ酸相同性を有することが明らかになった。生態における発現は、マウス脳において発生および成長過程において部位特異的発現調節を示す。さらに、内膜肥厚をともなう血管壁の平滑筋細胞に発現することから、動脈硬化進展に重要な役割を有する可能性がある。これらのことから、LR11は、発生過程およに病的プロセスにおける細胞増殖および分化に関与することが推測された。これまでにアポEをリガンドとすることが共通であるLDL受容体遺伝子ファミリーのヒトでの生体機能は、現在のところほとんど明らかにされていない。今後、神経細胞および血管壁におけるLR11の特異的な発現調節機能を明らかにするために、モデル動物を用いた細胞間インターラクションさらにその発現調節物質についてさらに詳細に解明する必要がある。
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