研究分担者 |
CUTTLE M.F. レスター大学, 医学部, 助手
FORSYTHE I.D レスター大学, 医学部, 助教授
辻本 哲宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40212055)
小野寺 加代子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00053091)
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研究概要 |
脳機能の統合制御および記憶を初めとする可塑的変化に重要な役割を果たすシナプス伝達物質放出修飾制御機構の研究を行った。ラット延髄台形体に前蝸牛核から入力する興奮性シナプスはシナプス前末端が巨大であることが知られる。これに注目して、ラット延髄から薄スライスを作製し、巨大シナプスを顕微鏡下に観察しながら、シナプス前末端および後シナプス細胞からバッチクランプ同時記録を行う方法を開発した。この方法を用いて次のことを明らかにした。 1.代謝型グルタミン酸受容体を介するシナプス前抑制作用における受容体のターゲットはCaチャンネルであって、Kチャンネルや、Ca流入の下流にある開口放出機構は関与しない(Takahashi et al.Science,1996)。 2.延髄の巨大シナプスで伝達物質放出に関与するCaチャンネルは専らP型である。このチャンネルはCa電流依存性の不活化を示すが、この性質はシナプス伝達における、後テタヌス抑制現象を司る(Forsythe et al.Neuron in press)。 3.代謝型GABA受容体(GABA_B)を介するシナプス前抑制は、代謝型グルタミン酸受容体を介してシナプス前抑制作用と同一メカニズムによる。これらの作用はGタンパクを介して行われることが実証された。また、Gタンパク共役型のKチャンネル(GIRK)はシナプス前末端に確かに存在するが、GABA_B受容体とはカップルしない(Takahashi et al.,J.Neurosci.,submitted)。 4.前シナプスCaチャンネルは頻回刺激によって、一過性に増大する。この作用はCa電流の立ち上がり速度の増加によっており、細胞内のCa濃度をBAPTAによって低下させたり、Caの代わりにBaを電流キャリヤ-とすることにより著しく減弱することから、Ca依存性と結論された(Cuttle et al.,投稿準備中)。 この一連の共同研究によりシナプス伝達物質修飾機構の基礎的メカニズムの一部が解明された。
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