研究課題/領域番号 |
09044262
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金ケ崎 士朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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研究分担者 |
FRIERICH Ern ツーリッヒ大学, 病院臨床化学, 部長
DINAUER Marr インディアナ大学, 医学部・小児科学, 現教授
MALECH Harry NIAID NIH生体防御, 研究部長
布井 博幸 熊本大学, 医学部, 講師 (50218260)
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キーワード | CGD / 好中球 / スーパーオキシド / 先天性異常 / 遺伝子治療 / B細胞 / レトロウイルスベクター / 薬剤選択 |
研究概要 |
慢性肉芽腫症(CGD)は好中球やマクロファージがスーパーオキシドを産生できないために殺菌できず、感染死に到る先天性異常であり、遺伝子治療が有効と考えられる。この疾患は4つの型の単一遺伝子(gp91、p22、p47、p67)の何れかの欠損で、疾患の解析と周辺領域の研究が進んでいるため、抗体やプローブがそろっている。既にp47遺伝子治療法を最も単純なMFGSベクターを用いて試みている米国NIHのH.L.Maleck博士は(最大0.5%の修復)、新たなパケージング細胞を用いることによりgp91に対するMFGSベクターで、タイタ-の非常に高いウイルス粒子(10^7)を分離することに成功した。我々は本邦の7人のgp91欠損CGD患者の変異遺伝子の解析を進め、患者由来のB細胞株を樹立し、これらにその導入を試みた。その結果最大98%、低い例でも30-40%の細胞が修復され、これに伴ってスーパーオキシド産生能も回復することを明らかにした。一方、我々は生体内で選択可能にした各遺伝子に対応するレトロウイルスベクターを開発し、次世代の遺伝子治療法としてその有用性を調べている。gp91に対するベクターでは患者由来のB細胞株で薬剤選択後70%の細胞が修復される結果を得た。インディアナ大学小児科のM.C.Dinauer教授はpg91欠損CGDモデルマウスを作成したが、このマウスの骨髄より造幹細胞を分離し先のベクターを用いて遺伝子導入を試みたところ、gp91の遺伝子産物であるヒト型シトクロムが発現した。スイスのF.Maly博士は我々はp22に対するベクターを用いて患者由来のB細胞株に導入してその回復に成功しているが、現在我々のベクターにこの遺伝子を載せる試みをしている。なお、これらの研究者の来日を機に、国際ミニシンポジウムを開催した。
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