研究課題
国際学術研究
本共同研究は、免疫応答や炎症反応に関与する免疫担当細胞の発生、増殖、分化を制御する細胞表面機能分子(サイトカインレセプターや接着分子)に焦点をあて,それらの発現や機能を制御する仕組みを解明すると共にシグナル伝達のメカニズムを分子レベルで明らかにするために、国際的な共同研究をすることを目的とした。研究は、当初の計画に基づき順調に進み興味ある成果が得られた。主たる研究は我々の研究グループが行い、その結果を海外の共同研究者に伝え討議を重ねて研究を続行するとともに、必要に応じて、我々が海外の共同研究者の所属する研究機関に調査研究のため出張したり、海外の共同研究者が来日して我々と情報を交換しながら共同研究を実施した。研究実施期間中に我々のグループの班員が8回海外へ出張し、海外の研究者が1回来日した。(1)sTgD陽性ナイーブB細胞を抗CD38抗体、CS/2とIL-5で刺激するとIgG1の産生が誘導されるが、CS/2やIL-5の単独刺激は無効であった。また、調べた範囲内でIL-5のみが有効であり、IL-4は無効であった。IL-4^<-/->マウスやSTAT6^<-/->マウスのB細胞もCS/2とIL-5に応答してIgGlを産生することから、このシステムはIL-4に非依存性のIgGl産生を誘導できるシステムであることがわかった。(2)CS/2刺激により非翻訳型ylmRNAの転写が起こるが、μからγlへの遺伝子組み替えは起こらなかった。しかし、CS/2刺激されたB細胞をIL-5で刺激するとμからγへの遺伝子組み替えが惹起されることが、スイッチサークルDNAを増幅し解析してはじめて明らかになった。(3)B細胞や好酸球の増殖や分化を制御するIL-5レセプター(IL.5R)α鎖の細胞内の機能ドメインを決定するため、IL-5Rα鎖遺伝子欠損マウスに野生型および変巽IL-5Rα鎖(細胞内のドメインに欠失領域を挿入)遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し、初期の解析を始めた。その結果、IL-5Rα鎖細胞膜直下のブロリンに富むドメインを欠失するとIL-5シグナルを伝達できないことが証明された。
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