研究課題
CD26はDipeptidyl peptidase IV(DPPIV)という酵素活性を有し、CD4メモリーT細胞に選択的に発現され、メモリーT細胞機能に重要で、さらにT細胞のcostimulatory分子でもある。CD26分子はAdenosine deaminase(ADA)の結合蛋白であり、CD26分子に結合したADAはアデノシンのT細胞への抑制作用を遮断することにより免疫調節作用を発揮することを報告してきた。我々はCD26分子上の詳しいADAの結合ドメイン及びそのADAとCD26結合における生物学的機能を検討し、CD26分子の340番目のロイシン、341番目のバリン、342番目のアラニン、及び343番目のアルギニンがADAの結合に必須なアミノ酸であることを明らかにした。さらにこれらのアミノ酸を変異させた変異型CD26JurkatトランスフェクタントではCD26は発現しているがADAは結合できず上記のアミノ酸の重要性を確認した。抗CD3抗体とPMA刺激によるIL-2産生は野生型CD26Jurkat及び変異型CD26Jurkatトランスフェクタントとともに同レベルであったが、ADA結合欠損変異型CD26Jurkatトランスフェクタントは野生型CD26Jurkatトランスフェクタントくらべて、アデノシンのIL-2産生抑制作用については非常に感受性が高かった。以上、(1)T細胞表面上のADAはT細胞活性化には直接関与しない、(2)CD26そのものはアデノシンの抑制作用を調節しない、(3)CD26分子上のADAのみが機能を有し、細胞外アデノシンの抑制作用を妨げることが明らかになった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)