研究課題/領域番号 |
09044270
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
正井 久雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40229349)
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研究分担者 |
TERESE Wang スタンフォード大学, 医学部, 教授
PAUL Russell Scripps研究所, 分子生物細胞, 助教授
渡辺 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60240735)
佐藤 憲子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70280956)
新井 賢一 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00012782)
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キーワード | 細胞周期 / DNA複製 / G1 / S移行 / MCMタンパク質 / セリン / スレオニンキナーゼ / リン酸化 / DNAヘリカーゼ / チェックポイント制御 |
研究概要 |
Two-hybrid法を用いて、分裂酵母とヒトのCdc7類似キナーゼの活性制御サブユニットを単離した。触媒サブユニットと活性制御サブユニットから、活性のあるキナーゼ複合体を昆虫細胞内で再構築することができた。さらに、このようにして単離された分裂酵母とヒトのCdc7キナーゼ触媒および活性制御サブユニット(それぞれHsk11/HimlおよびhuCdc7/H37タンパク質)の機能について、遺伝学的生化学的に検討した。Hsk1/Him1の転写とタンパク質およびhuCdc7/H37の転写の細胞周期における変動を検討した結果、いずれの生物種においても、触媒サブユニットは細胞周期を通じてほぼ一定のレベルで発現されること、制御サブユニットの発現はGl期で低下しGl後期からS期にかけて上昇しS期を通じて高く保たれることが示された。 hsk1(ts)株の解析および、himl変異体の解析から、分裂酵母のCd07類似キナーゼのHskl/Him1複合体は、体細胞分裂および減数分裂時のDNA複製の他に、ヒドロキシ尿素などによるDNA複製阻害時のチェックポイント制御にも関与することが明かとなった。Gl期のヒト正常繊維芽細胞にH37の抗体を微注入すると、80%以上の細胞でDNA複製が阻害された。この事実はH37の機能がヒト細胞のDNA複製の開始に必須であることを示す。また、muCdc7遺伝子の29のalleleを欠損したマウスは胎生3.5日から6.5日の間に死亡した。以上の結果はCdc7キナーゼ複合体の機能が動物細胞の増殖とくにDNA複製に必須であることを強く示唆する。一方ヒトCdc7/H37複合体を精製し、in vitroリン酸化反応による解析を行った結果、MCM複合体の中のMCM2サブユニットが特異的にリン酸化されin vivoで観察されるリン酸化パターンと類似したリン酸化パターンが得られた。リン酸化されたMCM2タンパク質は主に、可溶性画分に回収されることからMCM2のリン酸化によりMCM複合体の集合状態が変化し、その結果MCM複合体(DNAへリカーゼ活性?)が活性化され複製が開始するというモデルを提出した。
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