研究課題/領域番号 |
09044271
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
山形 哲也 日本学術振興会, 特別研究員
小川 誠司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
本田 浩章 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40245064)
千葉 滋 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60212049)
三谷 絹子 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50251244)
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キーワード | シグナル伝達 / Cas / チロシンリン酸化 / 細胞接着 / インテグリン / ノックアウトマウス |
研究概要 |
新規シグナル伝達分子Casはv-Crkおよびv-Srcによる細胞の癌化において強くチロシ、リン酸化を受ける分子として同定され、我々がcDNAが単離し、Casと命名した分子である。CasはSH3領域と15個のSH2結合モチーフの集積する領域を持ち、シグナルを集めて下流に伝える新しいタイプのシグナル伝達分子と考えられる。Cas遺伝子を単離し、抗体を作製した結果、Casはv-Crkおよびv-Srcによる細胞の癌化の他、細胞接着や低分子量G蛋白質であるRhoを介する接着斑の形成、さらにはc-AblやSrc familyチロシンキナーゼのシグナル伝達にも重要な役割を果たしていることが明らかになった。我々はインテグリン刺激のシグナル伝達系におけるCasのリン酸化とその役割を明らかにした。また、Casノックアウトマウスを作製し、Casノックアウトマウスは胎生期11.5-12.5日に全身うっ血で死亡し、その原因は心筋や血管の筋細胞におけるアクチン束状形成の不全によることを見出した。さらに最近我々は、Casに会合する分子のcDNAの単離に成功し、この分子は核へ移行して転写に関与することを見出した。これらのことから、Cas family蛋白質は細胞接着から転写に到る一連のシグナル系に重要な機能を果たすと推測される。共同研究者であるGriffin博士は我々との共同研究により、BCR/ABLのシグナルによってCasはCRKLと結合してシグナルを伝達することを明らかにした。Vuori博士は共同研究により、Casはインテグリン刺激によってSrcなどと複合体を形成してシグナルを伝達することを明らかにした。
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