研究課題/領域番号 |
09044282
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10262908)
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研究分担者 |
MEIJER Laure フランス海洋生物学研究所, 教授
内藤 康仁 名古屋大学, 医学部, 助手 (80303618)
渡邊 泰男 名古屋大学, 医学部, 講師 (10273228)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | プロテインキナーゼ阻害剤 / 細胞周期 / cdc2キナーゼ / イソキノリンスルホナミド化合物 / イソプリン化合物 |
研究概要 |
この2年間の研究交流によって実現した、相互の研究情報の交換および第71回日本生化学会年会のシンポジウムにおけるDr.Meijerの発表「Cyclin-dependent kinases as molecular targets in screening for new anti-mitotic agents」などを通して、合成化合物のプロテインキナーゼ阻害剤としての新しい可能性が検討された。この国際学術研究における大きな興味は、これまでHシリーズインヒビターとして用いられてきたイソキノリンスルホナミド化合物が、細胞周期関連キナーゼに対して阻害作用を持つか、という点にあった。その背景には、H-7などのイソキノリンスルホナミド化合物が非一般的なキナーゼ阻害剤として働く可能性が示唆されたからである。今回の共同研究で調べられたイソキノリンスルホナミド系化合物(H-1152およびその誘導体)には、cdc2キナーゼに対してもlow μMオーダーで50%の阻害作用を示した。しかし、Dr.Meijerらが開発したオロモウシンやロスコルビチンなどのイソプロピルプリン誘導体のような選択性に乏しく、両者の阻害様式は、同じATP拮抗型でも異なっていることが示唆された。もうひとつの興味ある問題として、ATP拮抗型キナーゼ阻害剤の阻害作用の強さは、単にそのキナーゼのATP要求性を反映しているのではないか、という点があった。最近報告されたRhoキナーゼに対するイソキノリン化合物(H-7およびHA-1077)などがその例に当てはまる可能性が考えられたからである。しかし、プロテインキナーゼの範囲を拡大して検討した結果、ATP要求性は阻害剤の強さに即反映するわけではないことが判明した。これらの研究成果は、新たなキナーゼ阻害剤の開発と、その薬剤への応用を考えるうえでも重要なポイントである。
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