研究課題/領域番号 |
09044292
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鍔田 武志 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80197756)
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研究分担者 |
RETH Michael マックス, プランク研究所, 教授
RAJEWSKY Kla ケルン大学, 遺伝研, 教授
HOWARD Maure DNAX研究所, 部長
饗場 祐一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00273516)
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (50222625)
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キーワード | Bリンパ球 / CDKインヒビター / CDK / 細胞周期 / 細胞死 / c-Myc / 抗原受容体 / 誘導的発現 |
研究概要 |
B細胞株WEHI-231では、抗原受容体(BCR)架橋による細胞死の際にCDKインヒビターの発現上昇がおこる。CDKインヒビターが細胞死誘導に関与するかを明かにする目的で、誘導的発現系を用いてWEHI-231にCDKインヒビターの発現を誘導したところ、WEHI-231は細胞死をおこした。この結果は、CDKインヒビターがBCR架橋によるB細胞の細胞死に関与することを示唆する。線維芽細胞などの細胞周期停止を伴う細胞死にはc-Mycの関与が示唆されるが、c-Myc発現プラスミドを導入したWEHI-231ではBCR架橋による細胞死に耐性になることが報告され、B細胞ではc-MycがBCR架橋による細胞死に阻害的に働くと考えられてきた。しかし、我々は、誘導的にc-Mycを発現する系を樹立し、c-Myc発現のみでWEHI-231が細胞死をおこすことから、以前の結果は、アポトーシス耐性株を選択したためのアーチファクトであることを明かにし、さらに、c-MycがBCR架橋による細胞死を増強することを示した。この結果もまた、CDKインヒビターによる細胞周期停止がB細胞の細胞死に関与することを支持する。さらに、BCR架橋によるB細胞の細胞死は抗CD40抗体や抗CD72抗体処理で阻害されるが、細胞死が阻害される場合にはCDKインヒビターの発現は低下する。我々は、CD72がチロシンキナーゼLynによりリン酸化され、フォスファターゼSHP-1と会合して、BCRを会するシグナル伝達を負に制御することを明かにした。また、遺伝子欠損ニワトリB細胞株を用いて、BCR刺激による細胞死誘導の際にc-mycの転写誘導がおこり、これがLynにより抑制されることを明かにした。以上の結果から、LynがCD72などを介してc-Myc,CDKインヒビターを負に制御し、細胞死の阻害がおこると示唆された。
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