研究課題
国際学術研究
脳における神経回路形成の分子機構を明らかにするために、ネトリンを用いて交差性、非交差性投射ニューロンの成長円錐のガイド機構の解明を進展させた。また、chemotropic因子の受容体の同定をはじめとする受容機構の解析、高次脳におけるこれらの分子の発現パターンの解析をおこない、交差性投射形成の分子機構の解明に大きく迫った。Mark Tessier-Lavigneをリーダーとする米国のグループは主にネトリンを安定に発現するcell lineの開発、またネトリンレセプターの強制発現実験を行うことにより、後脳、中脳、前脳における交差性、非交差性ニューロンの投射様式の解明に迫った。村上富士夫をリーダーとする日本のグループは、脊髄と脳における軸索誘導のメカニズムの分子レベルでの共通性の存在を、ネトリンを導入した培養細胞、抗ネトリン抗体の作製、コラーゲンゲル共培養により検討をおこなった。また、宋 文烹、山本亘彦が北米神経科学会においてこれまでに得られた知見をもとに研究成果の発表を行った。また、非交差性投射の形成過程を解析することにより交差性投射の形成機構を明らかにするため、Eric Frank博士の協力を得て非交差性投射ニューロンの成長円錐のガイド機構の検討をおこなった。さらに、濱、Ellisman,Martone博士らの協力のもとに、生理学研究所及び大阪大学の超高圧電顕を用いてトモグラフィー用写真撮影およびコンピューター画像解析法によって、交差が起こる際の成長円錐が腹側正中部で示す形態変化の解析をおこなった。
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