研究分担者 |
CURIEL David アラバマ大学, 癌研究所, 部長
三谷 幸之介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校, 医学部, 助教授
SALEH Mansoo アラバマ大学, 癌研究所, 副部長
HOON Dave S. ジョンウェイン癌研究所, 分子細胞免疫学, 部長
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研究概要 |
フーンとサレーは腫瘍特異的な癌特異抗原として、PCRを用いてヒトメラノーマ組織よりMAGE-1,MAGE-3,gp-100,TRP-2の遺伝子を単離した。金田は腫瘍抗原を遺伝子ワクチンとして生体組織で効果的に発現させるための、デリバリーシステムの開発・改良を行い、改良型HVJ-liposome(AVE型と正電荷型)を開発し、さらに組織内での遺伝子発現を高めるため、Epstein-Barr virusのコンポーネントを用いたレプリコンベクターを開発した。フーンと金田はまず、MAGE-1,3の発現ベクターをHVJ-liposomeによってマウス骨格筋に注入して発現させると特異的な抗体が産生され、1年後にもブースターをかけて抗体をマウス体内で活性化できることを確認した。ヒトgp100遺伝子をHVJ-liposomeによってC57BL/6マウスの骨格筋に2回注入し発現させると、gp100に対する抗体とマウスメラノーマ細胞株B16の細胞障害性T細胞(CTL)マウス脾臓中に産生された。そこでgp100発現ベクターで2回免疫したC57BL/6マウスの足底に2500個のB16細胞を接種した。gpl00で免疫したマウスにおいて腫瘍の形成が遅延と生存の長期化がえられたが、最終的に全例死亡した。さらに効果的な免疫を得るため、一過性に強い発現をおこせるベクターとしてセムリキ森林ウイルスベクターを用いて試験管内で合成したmRNAをHVJ-liposomeで組織で発現させることにした。またその注入部位として骨格筋ではなく抗原提示細胞が豊富と考えられる脾臓を選択した。同様の免疫実験を行い、抗体、CTLに誘発を確認し、腫瘍形成に対する効果をみたところ、gp100mRNAで免疫したもののみ、160日後においても6匹中2匹が生存し、腫瘍の再投与でも腫瘍形成を認めなかった。
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