研究概要 |
ヒト食行動異常症としての代表的な疾患は,拒食症・過食症・ストレス性肥満症などであるが,ストレスが食行動異常を招来する分子機構は明らかでない.本研究は,食欲の最終の調節因子であるNPY・CCKやその受容体などをターゲットとして,一連のトランスジェニックマウス・ノックアウトマウスを作製することを目的とした. 現在までのところ次のような成績が得られている. 1.NPYトランスジェニックマウスはすでに誕生し,ヘテロマウスの解析も終了している.ヘテロマウスは高架式十字迷路等で不安行動を有し,その作用はおそらくY_2受容体を介するものと考えられる. 2.PP及びPYYノックアウトマウス作製のためのクローニングを終了している. 3.CRFの作用に重要な役割を有するCRF Binding Proteinのトランスジェニックマウスを作製した.マウスは不安レベルの減少を示し,摂食の日内リズムに異常が認められた. 4.CCK-A及びB受容体ノックアウトマウスを作製し,現在そのフェノタイプを検討中である. 今年度から来年度にかけては,得られた動物の食行動異常モデルとしての異義を詳細に検討すると同時に,食行動の根幹に関わるペプチド及びその受容体のトランスジェニックマウス,及びノックアウトマウス作製を行っていく予定である.
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