研究課題
能動輸送タンパク質の構造、機能、輸送の分子機構に関する統一性と多様性を解析するためには、できるだけ多くの能動輸送系について解析する必要がある。幸い、代表者および分担者はこれまでに多数の輸送系を発見し、解析してきた。10年度は、以下のような成果を得た。1) 代表者のグループはイオンと共役する能動輸送系のうち、Na+/メリビオースシンポートとNa+/セリンシンポート系を中心に解析した。すでに代表者らの研究室ではこれらの系について生化学面、遺伝子面からかなり詳細な解析を行っており、その成果をふまえ、上記2つの輸送タンパク質について大量発現、大量精製法を確立した。カチオンと共役する輸送系の構造上および輸送メカニズム上の共通性(統一性)と多様性を明らかにすることが主目的の一つであるが、この研究により高次構造解析への道が拓かれた。2) これまでに解析してきたシンポート系とアンチポート系について、ホモロジー解析やモチーフ解析を通じ、イオン共役あるいは基質認識に関与する領域あるいはアミノ酸残基を明らかにした。特にいくつかのものについてはキメラ体の構築、部位特異的変異などの手法により多数の変異体を作成し、解析した。3) いくつかの新たな輸送系について遺伝子クローニングを行い、構造と機能の関係を解析した。ウィルソン教授のグループ、コニングス教授のグループもそれぞれがこれまでに解析してきた能動輸送系について同様の解析を進めた。また、当方がウィルソン教授の研究室を訪問して共同研究を行った。また、コニングス教授の研究室を訪問し研究討議を行った。
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