研究概要 |
ウクライナ共和国のドネェプロペトロフスク州、ドネック州及びチャルコフ州におけるリクイデーター(汚染除去処理作業者)は各々21,906名、26、503名及び28,314名でウクライナ全国に登録されている総数は360,279名であった。各州における白血病発生率は1986年のリクイデーターにおいて、一般住民の白血病発生率と比較して3.02倍と高率であり、悪性リンパ腫発症率は1.35倍であった。1986年〜1993年の全リクイデーターと一般住民を比較すると白血病発症率は2.67倍とやはり高率であった。リクイデーターの平均被爆線量は約25mSvと推定されており、白血病発症率が高値を示したことは、原爆被爆者における白血病発症率の増加を考慮しても、当然推察できるものであった。しかし、リクイデーターは現在もなお、Cs^<137>に被曝し続けられており、原爆被爆とは異なる白血病型が出現すると予想される。現在までに白血病発症者のDNAを抽出し検索したところ、急性骨髄性白血病の二症例にp53遺伝子のエクソン5及びエクソン6に異常を認めた。しかし慢性白血病患者及び急性放射線障害を惹起したリクイデーターの骨髄細胞からはp53遺伝子の異常は認められなかった。
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