研究課題/領域番号 |
09044316
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
杉野 弘 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50211305)
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研究分担者 |
RAAIJ A.J.M. オランダ国立発生生物学研究所, 上級研究員
東海林 博樹 香川医科大学, 助手 (10263873)
中村 隆範 香川医科大学, 教授 (70183887)
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キーワード | TGF-β / アクチビン / フォリスタチン / ヘパラン硫酸 / アポトーシス / 発生 / オ-ガナイザー / エンドサイトーシス |
研究概要 |
TGF-βスーパーファミリーに分類されるアクチビンは細胞の増殖・分化や個体発生などで多様な作用をもつ多機能タンパク因子である。本課題では、アクチビンシグナルの細胞表層での制御機能ならびにアクチビン受容体系から細胞内へのシグナルの授受機能の解明に焦点をあて検討し、次のような成果を得た。 (1)アクチビン結合タンパク質であるフォリスタチンは細胞表層のヘパラン硫酸側鎖上でアクチビンと強く結合した後、アクチビンと共にエンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれてリソソームで分解された。Xenopus初期胚の細胞を用いても同様の現象が観察されたことから、Xenopus初期胚における神経誘導に際してもこうしたアクチビンシグナルの消去機構が働いていることが示唆された。 (2)アクチビンによりアポトーシスが誘導されるマウスB細胞ハイブリドーマHS-72細胞にアクチビン受容体IB遺伝子を導入すると、低濃度のアクチビンによって、増殖抑制、G1アレストおよびアポトーシス(DNA断片化)が観察された。こうしたシグナルはIBを介して伝達されることが示唆された。一方、IAの導入発現株では、DNA断片化がむしろ抑制されたことから、IAを介するシグナルはIBのそれとクロストークしている可能性が考えられた。 (3)フォリスタチン様構造をもつタンパク質因子FRPのXenopus初期発生における機能を明らかにするため、whole mount in situハイブリダイゼイション法により発現パターンを検討した。FRPはXenopusのステージ10胚の原口背唇部に発現が認められ、FSと同様FRPもオ-ガナイザー活性を担った因子としての可能性が考えられた。ステージ14から脊索および底板に発現が始まりこの領域での発現は尾芽胚に至るまで続いて認められた。この結果は神経管腹側の形成に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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