研究課題
国際学術研究
一酸化窒素合成酵素(NOS)には神経型NOS(nNOS)、誘導型NOS(iNOS)、そして血管内皮型NOS(eNOS)の3つのアイソザイムが存在している。中枢神経系においては、nNOSおよびeNOSが恒常的に発現し、神経細胞の可塑的変化や細胞死などに関与していると考えられている。ラット脳内におけるnNOSの発現は主に神経細胞に認められているが、nNOSの発現Vについては、いまだ議論が分かれるところである。今回免疫組織染色により、eNOSの発現部位を調べた。ラット脳凍結切片を複数eNOS抗体を用いて検索したところ、脳のほぼ全領域にわたってシグナルが認められた。特に血管周囲や、脳梁、前交通、内包などの白質に強い染色が見られた。アストロサイトにおけるeNOSの発現が確認された。我々は以前、iNOSの誘導が見られない低用量のリポ多糖(LPS)を腹腔内投与することにより、ラット脳においてeNOSの発現誘導が見られることを報告した。今回、LPS刺激によるeNOSの発現パターンの変化について、免疫組織染色による観察を行ったが、特に新たな発現部位の出現は認められなかった。従ってLPSによるeNOSの発現誘導は、恒常的に発現の見られるアストロサイトでの発現量の増加によるものと考えれた。アストロサイトは神経細胞に支持や調節に寄与し、また血液-脳関門等の病態生理学的応答へのeNOSの関与が示唆された。
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