研究分担者 |
RUDOLF Balli ドイツ哺乳類遺伝学研究所, 所長
今井 賢治 ドイツ哺乳類遺伝学研究所, 研究員
KAREN Artzt テキサス大学オースチン校, 動物学部, 教授
MARTIN Hrabe ドイツ哺乳類遺伝学研究所, 研究員
阿部 訓也 熊本大学, 医学部, 助教授 (40240915)
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研究概要 |
本研究ではポジショナルクローニング法とトランスジェニックマウス技術を結びつけ、巨大ゲノム DNA 導入によって異を機能的にレスキューする手法を確立し、これを利用して突然変異責任遺伝子を同定、単離することを目的とする。とするのはマウス17番染色体の t-コンプレックスにマップされる発生致死変異である tw5 変異、T 変異、る qk(quaking)変異、或いは9番染色体にマップされる体節・骨形成に関与する tail kinks (tk)変異である. 昨年度までに(細菌人工染色体)導入マウス作製技術の確立を行ない,今年度はこの手法を変異遺伝子の探索,同定,あるいは機能解析に利用した. T 変異に関してはすでに責任遺伝子が同定されており,これを含む BAC を導入したところ,表現型の回復が確かに認められた.我々は tw5、tkの領域をカバーする BAC コンティグを作製した.tk 遺伝子座では D9Mit9 を中心とした約 500kb、4類の BAC クローンでカバーされる領域に原因遺伝子が存在することを見出し、tw5 では H-2K から DD17Mit148 までの約1000kbのゲノム領域に原因遺伝子があり、その大半の部分を BAC によってクローニングした.またこのゲノム DNA 中に、糖鎖合成酵素である,α1,3-Fucosyltransferase IX (mFuc-TIX),他に機能の未知である遺伝子を複数発見した.tk 領域では少なくともつの遺伝子が見つかっている.これまで4種の BAC クローンを導入したトランスジェニックマウスを作製し、それぞの系統を樹立した.これらのマウスを tk マウスと交配し、その子孫の中から tk ; BAC を持つマウスを選択し,これをさらにtk マウスと交配し,実際に変異表現型がレスキューされたとの示唆を得ている.また qk 変異に関しては候補遺伝子を含む BACクローンを導入したマウスを作製し qk マウスと交配し、その F1 をもう一度 qk 変異体と交配したところ、qk マウス的症状が回復することが確認された. このように,BAC トランスジェネシスは変異責任遺伝子の同定,機能解析に大変有効であることが実証された.
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