研究課題/領域番号 |
09044330
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 兵庫大学 (1998) 昭和女子大学 (1997) |
研究代表者 |
鬼頭 昭三 兵庫大学, 附属研究所, 教授 (00010140)
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研究分担者 |
新郷 明子 兵庫大学, 附属研究所, 講師 (50309499)
BIGGIO G. University of Cagliari, Department of Exp, 教授
BARNARD E.A. Cambridge University Department of Pharm, 教授
OLSEN R.W. UCLA School of Medicine Department of Ph, 教授
遠山 正彌 大阪大学, 医学部, 教授 (40028593)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | エストロゲン / IGF-1mRNA / c-fosmRNA / AP-1結合活性 / CREB結合活性 / Caイオン / nifedipine / tamoxifen |
研究概要 |
エストロゲンがラット海馬培養神経細胞のsurvival rateを上昇させるという事実を我々が見出したことに端を発し、エストロゲンの全身投与によってラットの大脳皮質、海馬などでIGF-1 mRNAの発現が誘導されることを確認したのでエストロゲンがIGF-1 mRNA誘導に至る細胞内情報伝達経路を追求している。 前年度までに(1)エストロゲンが海馬培養神経細胞内のCaイオン濃度を上げること、(2)エストロゲンを全身投与すると海馬、大脳皮質などでc-fos mRNAの発現を誘導すること、(3)エストロゲンを全身投与すると、海馬、大脳皮質でAP-1結合活性の120分に至るまでの漸増的上昇がみられること、などを明らかにした。 今年度はAP-1結合活性と情報伝達の上で関係の深いCREB結合活性の時間的経過を観察した。併せてCa拮抗薬やエストロゲンの核内受容体partial antagonistであるtamoxifenの投与が、エストロゲン投与によって誘導されるIGF-1 mRNA発現に与える影響を観察し、その情報伝達経路を探ることとした。 エストロゲン単独投与では、海馬および大脳皮質において、CREB結合活性の上昇がみられた.海馬では45分に始まる持続的上昇を示した. ラット海馬でRNase protection assayによって観察されたエストロゲン投与によるIGF-1mRNA発現の誘導は、前もってnifedipineを投与することによって完全に遮断された。また、ラット海馬で観察されたエストロゲンによるIGF-1 mRNAの誘導は、tamoxifenのエストロゲン投与の時間前の注射、およびエストロゲンと同時注射のいずれによっても阻害されなかった。最近、エストロゲンについては細胞膜上にも特異的結合部位が存在し、G蛋白を介してcyclic AMPと共役していることが報告されている。 以上を総括すると、エストロゲンによるcyclic AMPを介したCaイオン濃度の上昇は、CREB結合活性の上昇をきたし、この上昇はc-fos遺伝子上にCREB結合部位が存在することから、c-fos mRNA発現の誘導を促し、産生されたc-fosがAP-1結合活性の上昇をきたし、その結果がIGF-1 mRNAの誘導につながることが考えられる。この経路がnifedipineによって遮断されることは合理的な結果である。
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