研究課題/領域番号 |
09044332
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
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研究分担者 |
REINHERZ Ell ハーバード大学, 医学部ダナファイバー癌研究所, 教授
松田 達志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00286444)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | MAPKスーパーファミリー / T細胞受容体 / インターロイキン2 / カルシニューリン / サイクロスポリンA |
研究概要 |
CD28刺激を行わずに、TCRシグナルのみを介してT細胞を活性化することによって無反応状態が誘導されるが、その際にはT細胞の増殖因子であるインターロイキン2の生産が見られない。そして、このような場合にはMAPKスーパーファミリーメンバーの中のERKのみが活性化される。一方、TCRとCD28を介して刺激することによってインターロイキン2を生産する場合には、ERKに加えてJNKとp38の活性化も観察される。様々な阻害剤や優性不能型変異体を駆使した研究から、JNKとp38の活性化経路はインターロイキン2の生産に対して相加的に作用し、ERKはこれらのキナーゼと相乗的に作用することを明らかにした。さらに、抗原刺激によるJNKとp38の活性化がサイクロスポリンAによって抑制されることを見いだした。浸透圧ショックなどのストレスによるJNKとp38の活性化はサイクロスポリンAによって抑制されないので、抗原刺激の下流には、ストレス系とは異なる、サイクロスポリンAに感受性のJNKとp38の活性化経路があることが予想される。サイクロスポリンAはカルシウム感受性の脱リン酸化酵素であるカルシニューリンを阻害することによってインターロイキン2プロモーターの転写に必須の転写因子でNFATの核移行を阻害する。従って、サイクロスポリンAはカルシニューリンの阻害を介してインターロイキン2の生産を阻害し、それによって末梢T細胞の自己寛容状態を作りだすと考えられてきた。一方、カルシニューリンはあらゆる細胞に発現しており、サイクロスポリンAが比較的特異的な免疫抑制剤として機能する理由は必ずしも明らかでなかった。本研究から、サイクロスポリンAの標的がカルシニューリン経路のみではなく、JNKとp38の活性化経路も標的であることが明らかになり、サイクロスポリンAが特異的な免疫抑制剤として機能する理由が明らかになった。
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