研究概要 |
ヒトの第6染色体6p21.3領域に位置するHLA領域と相同性を有する遺伝子が多数みいだされるヒト第9染色体9q33-34領域、第1染色体1q21-25領域のゲノム構造をHLA領域と比較、解析することにより、MHCの進化の起源と進化の過程を解明することを目的として、まずHLA領域のなかで塩基配列が未決定のHLAクラスI領域の1.3Mbについて、ショットガン法により大量シークエンシングを行い、新遺伝子の同定を試みた。その結果、この領域に16個の既知遺伝子、23個の新発現遺伝子、6個の新偽遺伝子の合計45個の遺伝子が同定され、現在これら新遺伝子の機能を解析している。代9染色体9q33-34領域と第1染色体1q22-23については、相同遺伝子の配列順序を明らかにするためにこれらの領域を含むと考えられるYACクローンを用いて、この領域に座位する遺伝子とSTSマーカーのPCR解析を行った。その結果、9q33-34領域については、セントロメア側からHXB-C5-GRP78の順序に各遺伝子が位置することが明らかになった。1q22-23領域については、非古典的MHC遺伝子として知られているCD1遺伝子を含む1.4Mbの領域のYACとPACコンティグを作成した。PACクローンの末端シークエンスとPCR解析からこのコンティグには、セントロメア側からCD1D-CD1A-CD1C-CD1B-CD1E-SPTA1-FY-IFI-16-FCERIAの順序に9遺伝子が位置することが明らかになった。さらにこのコンティグは、PACクローンを用いたFiber-FISH法によっても確認された。また、FCERIA遺伝子のテロメア側の領域を含むと考えられるYACクローンを用いたPCR解析から、セントロメア側からFCERIA-PBX1-ALDH9-RXRG-POU2F1-CD3Z-ATAC-FV-FMO1-FASLの順序で遺伝子が位置していた。以上の解析から、1q22-23領域にはSPTA1,FY,IFI-16,FCERIA,CD3Zのような免疫反応に重要な遺伝子が数多く位置することが明らかになった。
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