研究概要 |
昨年度までの研究においては,betulinic acid及びoleanolic acidをリード化合物とした化学的修飾により極めて強い抗HIV活性を示す化合物が得られることを明らかとしたが,本年度は,これまでの研究において各種植物より同定された抗HIV活性物質中,特にursolic acidをリード化合物とした化学的修飾を行い,抗HIV活性を検討した. リード化合物のursolic acidと比較して抗HIV作用の改善が認められた化合物は,1種のみであり,またbetulinic acid,oleanolic acid誘導体に比べ活性の改善はわずかであった.この結果は,第45回生薬学会(於仙台市)で発表し,現在論文作成中である.また,betulinic acid及びolcanolic acidの化学的修飾についても継続して検討を行った.上記検討により得られた化合物類は,ノースカロライナ大学(チャペルヒル市,米国)を訪問した際し,サンプル提出を行うとともに,米国側研究分担者と研究の進行状況等情報交換,今後の研究方針の打ち合わせを行った. 一方,これまでの研究で最も強い活性が認められたbetulinic acid誘導体の作用メカニズムは研究協力者により行われ,HIVの転写以降の部分に作用することまで判明し,それらの結果は第10回抗ウィルス化学療法研究会で発表された.
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