研究概要 |
B細胞抗原受容体(BCR)を介するシグナルはB細胞の活性化・分化に必須の役割をしている。最近の研究成果はBCRシグナルに抑制的に働く抑制性レセプターの存在を明らかにしてきており、特にBCRシグナルの終結・減弱に重要な役割をしていることが、推定されている。我々の研究はBCRシグナルの細胞内シグナル伝達機構、又B細胞に発現している抑制性レセプターFcγRIIBのBCRシグナル抑制分子機構を明らかにすることを目的とする。 BCRとFcγRIIBをクロスリンクすると、BCRを介するカルシウム動員の阻害等シグナルが抑制される。FcγRIIBの細胞内領域に含まれるITIMの中に存在するチロシン残基がLynにより燐酸化されることが、阻害シグナルを展開する上で必須であることを明らかにした。燐酸化ITIMに結合するSH2を含むシグナル分子としてin vitroでSHP-1,SHIPが結合することが示されていたが、どちらの分子がin vivoでFcγRIIBを介する阻害シグナルに関与するか解明されていなかった。SHP-1,SHIP欠損B細胞を樹立することにより、この課題にapproachした結果SHIP欠損B細胞ではFcγRIIBによる阻害が解除され、SHIPの機能的重要性を明らかにすることができた。 HSIPの抑制機構の研究も行っており、SHIPによりPIP3が分解され、PIP3を介して膜分画に結合していたBtkがdownregulationされ、結果としてカルシウムの流入の阻害がかかったものと考えられる。
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