研究課題
国際学術研究
菅原、Lindahlらは、ウシ胎児血清およびマウス肥満細胞腫に見い出したコンドロイチン硫酸合成酵素(GalNAc転移酵素II、GlcA転移酵素II)の精製を行い、性質を明かにした。小川、田村らは、化学合成によって酵素基質を供した。菅原、Dell、Khooらは、イカ軟骨コンドロイチン硫酸Eから新規の四糖を単離し、完全一次構造を決定し、新規のグルクロン酸-3-硫酸構造を示した。菅原とFaissnerらは、珍しい二糖単位であるD-unit[GlcA(2-O-sulfate)β1-3GalNAc(6-O-sulfate)]を含むサメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Dがラット脳の海馬由来の培養神経細胞に対して神経突起伸長促進活性を示すことを明らかにした。また、この活性はマウス脳の未熟なグリア細胞の産生ずるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるDSD-1-PGのコンドロイチン硫酸側鎖に対する単クローン抗体473HDによって特異的に阻害されることも見い出し、D-unitが神経突起伸長促進活性に関与している可能性を指摘した。さらに、市販のサメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Dを分画し、抗体に対する親和性が高い画分ほど高い神経突起伸長促進活性を示すことを明らかにした。また、抗体に対する親和性が高い画分ほどD-unitの含量も高いことも判明した。抗体カラムに結合しなかった画分は神経突起伸長促進活性を殆ど示さず、また、D-unitの含量も結合画分と比較してかなり低かった。さらに、マウス脳から精製したDSD-1-PGをコンドロイチナーゼで分解してHPLCで分析することによって、5%のD-unitを含むことも明らかにした。このようにコンドロイチン硫酸Dの神経突起伸長促進活性にはD-unitが関与していることを強く示唆することが出来た。
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