研究分担者 |
TAKAHASHI Ma 南カリフォルニア大学, 医学部, 教授
MELISH Maria ハワイ大学, 医学部, 教授
NEWBURGER Ja ハーバード大学, 医学部, 準教授
SHULMAN Stan ノースウエスタン大学, 医学部, 教授
河崎 富作 日本川崎病研究センター, 所長
柳川 洋 自治医科大学, 医学部, 教授 (30077169)
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研究概要 |
本研究班では,川崎病の疫学,病態,治療法について,日米間での研究成果を比較検討する事を主な研究目的としており,本年度は以下のような研究成果を得た. 疫学の領域では,川崎病急性期のIgAレベルとB細胞分化との関連を含めた川崎病の病因と血清IgAとの関連,また川崎病の病原についてウイルスの可能性についてコロナウイルスを中心に検討が行われた.1995年から1996年までの日本国内における川崎病患者の発症数および冠動脈瘤合併頻度,兄弟発生頻度,再発率などについて検討した.病態の領域では川崎病非定型例と定型例との臨床および検査所見の比較検討を行った.また川崎病年長例について米国での剖検例を含めた検討が行われた.また,米国側より川崎病冠動脈病変のエコーによる診断基準の問題点について新しい提案が行なわれた.現在,冠動脈病変の診断基準としてはわが国の川崎病研究班による冠動脈病変の診断基準が広く用いられているが,この基準には年齢,体重による冠動脈径の補正は行われおらず,健常児の冠動脈直径の年齢および体表面積による変化を算出し,川崎病患児の冠動脈径をその何バーセントのずれの範囲にあるかについて検討を行った.治療に関する研究としては,冠動脈の中でも最も重症なタイプである巨大冠動脈瘤合併症例に対する,アスピリンとワーファリンの併用療法に関する有効性について検討した.急性期治療の問題点として,ガンマグロプリン療法不応例に対するステロイドパルス治療の有効性について冠動脈病変発生率と医療経済向からの検討が行われた.遠隔期の心血管後遺症に対する治療法として,わが国における川崎病の冠動脈狭窄病変の治療としてバルーン拡大術,アセレクトミー,ロータブレーター,ステントなどのカテーテル治療の現状について検討された.さらに,アセチルコリン負荷を用いた冠動脈瘤の消退を認めた症例の冠動脈形態と冠動脈内皮機能に関する研究成果が報告された.
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