研究課題
国際学術研究
電位依存性Ca^<2+>チャネルP/Q型のチャネル形成サブユニットα_<1A>(或いはBI)遺伝子の変異である、tottering(tg)、及びleaner(tg-la)(欠神性小発作或いは強い運動失調が特徴的)が引き起こす、P/Q型電流の直接の機能異常を検討した。パッチクランプ法による急性単離ブルキンエ細胞におけるP/Q型Ca^<2+>チャネル、及びBHK細胞に組み換え発現させた両変異体P/Q型チャネルを解析し、野性型の性質との比較をしたところ、2つの変異のうちでは強い行動異常を示すtg-laの方がより強く、P/Q型Ca^<2+>電流の電流密度減少や不活性化の変化を及ぼすことが明らかになった。これらのことは、α_<1A>遺伝子に起因するヒト遺伝性神経疾患の発症機序を明らかにする上で、非常に重要な知見である。また、同じく欠神性小発作或いは運動失調症状を示すstargazerマウスが新規γサブユニット(γ_2)に欠損変異を有することが明らかになった。更には、GTP結合(G)蛋白質による電位依存性Ca^<2+>チャネル活性抑制の分子的機序の検討を行ったところ、Gβ_γがα_<1B>(N型)及びα_<1A>(P/Q型)の繰り返し単位I-II loopに、GaがC末端に結合することが明らかになった。さらには、骨格筋における興奮収縮連関を司る、L型Ca^<2+>チャネル(ジヒドロビリジン受容体)とカルシウム放出チャネル(リアノジン受容体)との相互作用に重要な領域をそれぞれの1次構造上に決定した。これらの知見は種々の変異体における機能異常を理解する上で非常に重要である。さらには、受容体Ca^<2+>チャネルを形成する新規のTRP5のcDNAをマウス脳より単離した。TRP5はHEK細胞内在性のG蛋白質共役型ATP受容体の刺激によって、Ca^<2+>ストアの枯渇とは無関係に開口する、Ca^<2+>チャネルであることが明らかになった。
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