研究課題/領域番号 |
09044352
|
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 副部長 (10201360)
|
研究分担者 |
FRANK Austen ハーバード大学, 医学部, 教授
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部・所長, 部長 (40025507)
KUBATA B.K. (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (30291032)
GERASHCHENKO ディ.ワイ (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部. 日本学術振興会, 外国人特別研究員 (90281609)
金岡 禧秀 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (40271514)
|
キーワード | プロスタグランジンD_2 / プロスタグランジンD合成酵素 / βトレース / トランスポーター / 進化 / X線結晶解析 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
プロスタグランジンD_2は脳における主要プロスタグランジンであり、睡眠誘発や痛覚応答の修飾・体温低下などの多彩な中枢作用を示す。一方、肥満細胞においても活発に生産されアレルギーや炎症反応のメディエーターとして作用する。その生合成反応を触媒するプロスタグランジンD合成酵素は、脳・脊髄・網膜などの中枢神経系や雄性生殖器に分布するリポカリン型酵素と、免疫系や消化器・皮膚などの末梢臓器に分布する造血器型酵素の二種類が存在する。我々は、生理的睡眠調整の鍵を握る酵素と考えられているリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素が、βトレース蛋白質として脳脊髄液や眼房水・精液中に分泌され、それらの体液中においてレチノイドや甲状腺ホルモン・胆汁色素等の疎水性物質の輸送を司る多機能蛋白質であることを明らかにした。一方、造血器型プロスタグランジンD合成酵素のcDNAクローニングを行い、本酵素がリポカリン型酵素との間に一次構造の類似性を全く示さず、異なる進化的起源を持つことを証明した。そして、そのアミノ酸配列の相同性検索により、本酵素が脊髄動物で発見された最初のシグマ型グルタチオン転移酵素であることを明らかにした。さらに、両酵素の結晶化に成功し、造血器型酵素についてはそのX線結晶構造を決定した。そして、それぞれの酵素について、その遺伝子を欠損したノックアウトマウスと、ヒト型の酵素を大量発現するトランスジェニックマウスの作製に着手し、複数の独立コロニーの繁殖を行い、それらの遺伝子変異マウスの中枢神経機能や生殖機能・免疫機能の変化の追跡を行った。
|