研究課題/領域番号 |
09044353
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
井上 達 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 部長 (50100110)
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研究分担者 |
佐井 君江 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (20195960)
長谷川 隆一 総合評価研究室, 室長 (50112496)
菅野 純 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (90186172)
TROSKO James ミシガン州立大学, 小児科学・人類発生学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | p53 / ペンタクロロフェノール / ギャップ結合細胞間連絡 / アポトーシス |
研究概要 |
本研究は、マウス肝での造腫瘍性の知られるpentachlorophenol(PCP)における、このものの二段階発がん実験でのプロモーター作用の基礎と考えられる(1)酸化的DNA損傷、(2)アボトーシス、(3)細胞間連絡(GJIC)阻害の3つの現象の相互関連に注目して、その制御機構を明らかにすることを目的としている。ここでp53欠失マウスは、この実験で(1)DNA損傷の蓄積、(2)アポトーシスの抑制、(3)GJICの低下などが高度に増強されると予測され、この研究の目的を効果的に果たすものと考えられたので、本研究のツールとして導入した。 本研究成果として、(1)p53欠失マウスに短期間PCPを投与した結果、肝の酸化的DNA損傷・細胞増殖作用の増強性は認められず、p53のPCPによる発がんプロモーター機序における役割は本研究においては明らかでなかった。一方、(2)培養細胞系において、PCPによるGJIC阻害作用ならびにアポトーシス阻害作用のあることを明らかとした。またGJIC阻害の初期過程でのMAPK(mitogen activated protein kinase)の活性化、抗酸化物質カテキンによるGJIC阻害の軽減効果を見い出し、GJIC阻害と酸化的ストレスとの関連性が示唆された。さらに(3)我々が改良したin vivo GJIC解析法により、PCP投与によるマウス肝のGJIC阻害作用が認められ、これまでの培養系での知見を支持する結果が得られた。 以上の本研究から、PCPの発がんプロモーター機序には、p53の制御については明らかでないが、GJIC阻害ならびにアポトーシス阻害が相互に関連することが明らかとなり、またその阻害機序に酸化的ストレスの誘導によるシグナル伝達系の関与が推察された。
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