研究課題
国際学術研究
目的:本研究は、リンパ球シグナル伝達を制御するチロシンホスファターゼ機能を解明すると同時に、この分野の現状を把握することを目的として計画された。具体的には、レセプター型チロシンホスファターゼ(PTP)であるCD45と細胞内型PTPであるPEPを取り上げ、B細胞抗原レセプター(BCR)シグナル伝達におけるこれらのPTPの作用機序を明らかにすることである。CD45によって制御される下流の分子については、デニス・アレクサンダー博士とブルクハルト・シュラーベン博士との共同で、またPEPの機能についてはギャリー・コレツキ-博士と共同で解析した。結果:1.CD45によるMAPキナーゼファミリーの制御について解析した結果、以下のことが明らかになった。すなわち、ErkとJNK/p38に対するCD45の作用は異なっていること、しかもErkとJNK/p38への制御は未熟B細胞と成熟B細胞で全く逆であること、さらに、JNK/p38の活性化とBCRを介する増殖抑制が相関していることなどである(投稿準備中)。2.CD45欠失によりチロシンリン酸化が阻害される分子量66kDa蛋白の同定を2次元電気泳動法で開始し、そのアミノ酸配列決定へ進むところである。3.PERのBCRシグナルにおける役割をアンチセンスRNAの手法で検討したところ、PEPがこの過程で不可欠な制御を行っていることが明らかになった(投稿中)。4.これらの成果を、研究代表者が主催した国際シンポジウムで発表し、共同研究者の研究成果とともにSpringerから出版した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (15件)