研究課題
国際学術研究
本研究では、最初にビクトリア工科大学文学部と宇都宮大学国際学部の文化に関する教育の実情調査を行った。ビクトリア工科大学では、専攻と呼ばれる科目群を2つと、副専攻と呼ばれる科目群を2つか、第三専攻を1つ、それに必修科目を2科目履修する方法が、多くの学科で採られている。それに比べて宇都宮大学国際学部では、基礎科目を必修とし、その他は必修選択または選択科目としている。さらに研究においては、2学部の文化に関する教育体制の特徴と今後の課題について調査した。ビクトリア工科大学では、専攻により科目を指定し、知識を深める方法が採られてい上に、特別な方法でその体制が強化されている。つまり授業科目は講義と演習が組み合わされていて、学生は教師の講義を聴くだけでなく、聴講した内容を演習、調査、発表、レポートなどの方法で深化することが求められている。一方教育内容を限定することで領域の限定が起こって、国際学のような広い領域にわたる学問に対処しきれなくなってもいる。この解決には、あらたな専攻の設置が必要であろう。これに対し宇都宮大学では、多くの授業科目を自由に履修できて、学生の興味に沿った履修が可能である。これは学生の関心を高める効果があるが、反面学問の体系性を無視して拡散してしまうおそれもある。この対策としては、同学部に設置されている基礎科目の積極的な利用が有効であろう。基礎科目を本当に基礎科目として位置づけるためには、1クラスあたりの受講生の数を減らさなければならない。また基礎科目の知識を深化させるためには、その科目に関連した演習を必修化しなければならない。同時に、基礎科目である文化人類学および比較文化論と個別文化に関する科目を同時に履修できないようにすることも必要であることが分かった。最後に研究分担者は、文化人類学、比較文化論、イギリス文化論の科目において体系的教育をめざすために、実現可能な教案を作成した。