研究課題
基盤研究(B)
プロジェクト最終年度にあたる今年度は、過去2年間の交流と研究の積み重ねにもとづく最終報告書の取りまとめにむけた研究会やセミナーを企画、実行した。7月にはオーストラリア国立大学からの参加者テッサ・モーリス・スズキ氏によるセミナーを東京外国語大学において開催した。テーマは氏の報告書草稿として準備された論文、"Globalization and the Politics of the Lived World"(グローバル化と生活世界の政治学)であり、学内外の広い参加者を得て、活発な議論が行われた。また12月には岩崎稔が、オースリラリア国立大学およびクイーンズランド大学を訪れ、セミナーを開催し、表象論の立場から日本のナショナリズムを論じた。さらに2000年2月には、小泉順子がオーストラリア国立大学において、"タイにおける伝統の創造"と題して、タイシルクがタイにおける伝統産品として創出されていく過程を論じた。また月々の研究会においては、グローバル化とアジアのナショナリズム、アイデンティテイの変容を中心テーマに据えながら、各人の論文構想や草稿についての発表、議論を積み重ねた。その結果、最終報告書には、広い対象領域と、多様なディシプリンにわたりながら、共通した問題意識に貫かれた、すなわちグローバル化が激しく進展する歴史の激動期においてアジア諸地域がどのようにこれに対応し、いかなる問題を抱え、そしてどこに向かっていこうとしているかという大きな問題に切り込んだ充実した論文が、すべての参加者から寄せられた。三年間の本プロジェクトの実りが確かなものであったことを改めて確認することができた。
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