研究課題
看護の目的の一つは、対象者への「安楽」の提供といえる。しかしながら具体的には何をすることが対象者にとっての「安楽」につながるのかという問いに対する研究は少ない。KOLKABAは「安楽」についての概念分析を行い、「より快適な状祝であること」「苦痛のないこと」そして「個人の戌長をもたらすこと」という3つの要素を明らかにした。今回、我々は、このKOLKABAの「安楽」についての3つの要素を用いて質問紙を作成し、日米両国において過去3年間にわたるインタビュー調査を試みてきた。その結果は、次の通りに集約される。対象者;日本(5施設 350人) 米国(158人)分析方法;回答選択肢毎の日米比較(選択肢 1.自分にとって重要であり看護婦に行ってもらった2.自分にとって重要であるが看護婦は行っていない 3.自分にとって重要であるが看護婦は十分に行っていない 4.他の人にとっては重要であるが自分には重要でない5.自分にとっても他の人にとっても重要でない)選択肢1;日本は、看護婦が自分の食事や飲み物に気を配り、自分の状態について説明をするなどケアをされていると感じられる時である。米国は、看護婦が患者を敬う態度で接してくれるかどうかがポイントのようである。2;共通する内容としては、日常生活に近い状態に周囲を整えることである。日本では、予後や経過についてもっと知りたいであり、米国では、自分に関心を払ってくれることである。3.日米に共通することは、自分の体に付いてもっと説明をしてほしいことであり。日本の特徴は、側にいてほしいと望む声が多い。米国では、気に掛けてほしいことである。4.両国に共通していることは、病院や家庭での持続的な治療に対する十分な説明を希望していることである。5.宗教的な部分において低い値が認められるが、この点は個人差が多いように思われる。多くの点で日米の一致点が認められる。対象者は、自身を大切にされると感じたり、関心を向けられていると感じる時、すなわち、「より快適な状況であること」「苦痛のないこと」そして「個人の成長をもたらすこと」という3つの要素がやはり大きな鍵になっているように思われる。さらに、分析を続け、日米の文化的背景がもたらす内容との比較検討を重ねる。
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