研究課題/領域番号 |
09045038
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 博彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063622)
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研究分担者 |
VICTORN Zado モスクワ大学, 国際レーザーセンター, 教授
NIKOLAIL Kor モスクワ大学, 物理学部, 教授
中井 浩巳 早稲田大学, 理工学部, 講師 (00243056)
岩田 耕一 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助教授 (90232678)
伊藤 紘一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40008503)
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キーワード | 光励起分子ダイナミックス / ピコ秒時間分解ラマン分光 / ピコ秒時間分解紫外可視吸収 |
研究概要 |
(1)ルシフェリンの光化学:蛍の発光物質であるルシフェリンの時間分解蛍光スペクトルおよび時間分解吸収スペクトルを測定した.過渡蛍光が過渡吸収に対して50ピコ秒遅れて観測されることが判った.この結果から,ルシフェリンが最低励起-重項状態で2種類の異なるコンフォーメーションをとると結論した.この結論はルシフェリン-ルシフェラーゼ錯体が光誘起解離を起こすことを示唆するものである. (2)サリチルアニリドの光化学:サリチルアニリドの光化学反応における過渡分子種の時間分解赤外吸収スペクトルの測定に成功した.この過渡分子種は寿命が8マイクロ秒であり,時間分解紫外可視吸収スペクトルで観測した340nmの吸収に対応するものと考えられる.基底状態で1528cm^<-1>に観測される赤外吸収バンドはアミドのN-Hを重水素置換してN-Dにすると、1350cm^<-1>付近まで低波数シフトすることから,アミドIIの振動モードに帰属されるが,過渡分子種ではこのアミドIIに対応する赤外バンドが観測されないことが判った.この過渡分子種はアミド構造が消失したキノイド構造をとっていると結論した. (3)クロルプロマジンの光化学:ナノ秒時間分解ラマン分光およびレーザーフラッシュフォトリシス法により、フェノチアジン、クロルフェノチアジン、プロマジンおよびクロルプロマジンの光化学反応において、出現する過渡分子種の共鳴ラマンスペクトルと過渡吸収を測定した.これらの中、クロル誘導体では、カチオンラジカルから560nmに吸収をもつ過渡分子種Xが、更に、Xから380nmに吸収を示す過渡分子種Yが生成することを明らかにした.クロル誘導体の光毒性が特に大きいことから、Xが主要な生理活性種である可能性が高いと結論した.
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