研究課題
国際学術研究
通常の宇宙線空気シャワーが地上へ到来する時刻の分布は、従来全くランダムな現象であり、確率的にはポアソン過程に従うものと考えられてきた。ところが近畿大学のこれまでの実験データで、空気シャワー到来イベント間のインターバルの時系列データにはカオス的特徴を示す部分が数カ所含まれていることが分かってきた。またこのカオス的な現象は、日本の他大学の空気シャワー実験でも見つかり、しかも近畿大でのカオスイベントと同じ時間帯のものも存在する事が分かってきた。カオス現象が広がりをもち数百kmに渡って分布するらしいので、さらに地球的規模にまで広がりを持つのか否かを研究するために、日本から離れた距離にあるロシアのイルク-ツクで得られた空気シャワーとの相関を調べる研究をはじめた。本年度の実績を列挙する。1.本年度は日本側から秋に3名が研究連絡に出張して、ロシアのTUNKA-13と称する空気シャワーチェレンコフ光観測装置にGPSを設置した。これによりロシア側もGPSのUT時間による精密測定により、日本とロシアで空気シャワーの同時測定が数マイクロ秒の精度で可能になった。2.またカオス解析方法とソフトウェアを伝授し、ロシアグループで空気シャワーデータ中のカオス現象を呈する領域を求める事ができるようにした。ロシアのデータがカオスシャワーは1例の候補が見つかっている。3.UT時間による実験データはロシア側では秋から冬のあいだに約3カ月分蓄積できている。インターネットにより互いに実験データの交換を行った。4.カオス解析の方法については、時系列データから埋め込みにより相関次元を計算するカオスの判定方法がノイズの効果を考慮して一応確立し、データの自動解析ができるようになった。
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