研究課題
ロシアのTunkaに設置されているチェレンコフ型空気シャワーアレイの観測データについて主にカオス解析を行った。観測データの交換はインターネットを用いておこない、その説明にイルクーツク大学から研究者1名が近畿大学を訪問した。1. ロシアの観測装置、とくに計算機の特性によりデータの欠損部が大きく、解析に悪影響が出ることを懸念したが、連続観測のデータの約10%(100秒の観測と10秒の回復時間)が欠けていてもカオス解析ができ、フラクタル次元を求め得ることがシミュレーションより分かった。2. カオス解析は、1997年11月4日から1998年2月2日までの211有効観測時間の観測データ、総イベント数が1197kイベントに対しておこなった。GrassbergerとProcacciaの方法により宇宙線時系列データを10次元まで埋め込み相関次元を求めた。その結果カオスの候補として、11月4日と11月29日に、埋め込み次元が8のとき相関次元が共に4.8にでる2例を選別することができた。カオスである時間はともに約10分間であった。3. 日本側の空気シャワーは近畿大学の観測データについてカオス解析がおこなわれている。その結果1年間に3,4例のカオス候補が見つかっている。その中の1例は1997年11月26日から29日にかけて発生している。この事例はロシアの事例と時間帯が一部重なっているように見える。すなわち地球的規模でカオスが生じている可能性を示唆する。しかし未だ1例のみであるので、今後観測をつづけ例数を増やし確実な結果を得る必要がある。
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