研究分担者 |
万 発栄 北京科技大学, 物性系, 教授
胡 本芙 北京科技大学, 材料系, 教授
木下 博嗣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40177895)
渡辺 精一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60241353)
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研究概要 |
1.ステンレス鋼を電子線のみで照射すると格子間原子が集合体した積層欠陥型転位ループが形成され,更に、照射を継続すると積層欠陥型転位ループ内には微小転位ループコントラストが現れ、このループは原子空孔型の積層欠陥四面体に変換した。 一方、電子線/Heイオンによる同時照射すると最初に積層欠陥四面体が形成され、さらに同時照射を行うとこの積層欠陥四面体がボイドの核となることが明らかになった。このことから、Heがボイド核を安定化されることが解明された。 2.Fe-(15-16)%Cr-16%Mn-0.2%-0.2%鋼は室温での引張り試験から、降伏強度は400MPaで伸びは60%以上の高い値を示し優れた機械的性質を有することが判明した。この鋼を200-400℃、3dpaまで電子線照射すると、最初に転位ループが形成されたが、200-300℃ではボイドが形成されなかったが、400℃ではボイドが核形成した。更に、Mn濃度が24.5%と高いMn鋼を照射すると200-400℃の全ての照射温度範囲で高密度でボイドが核生成した。この合金の照射下でのオーステナイトは,300℃まではマトリックス、結晶粒界とも全く変化なく相が安定であった。照射温度が300℃以上になると素地はオーステナイト相と変化が認められなかったが、素地中には微細な炭化物の析出が認められ、高温度では照射により析出物が促進されることが明らかになった。 3.W,Vを添加した低放射化Fe-Cr-Mn(W,V)合金を電子線/ヘリウムで二重照射した結果、転位ループやボイド等の2次欠陥が形成され次第にその密度が増大した。特に、高温照射の場合には、ボイドは転位線上に優先的に形成された。また、この鋼ではCr,Mnの粒界シンクにおける偏析は検出されず照射誘起偏析が抑制されることが明らかになり,W,V添加効果が偏析抑制に有効であることが示唆された。
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