研究分担者 |
万 発栄 北京科技大学材料系, 教授
胡 本芙 北京科技大学材料系, 教授
木下 博嗣 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 助手 (40177895)
柴山 環樹 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 助手 (10241564)
HU Benfu University of Science & Tech.Beijing, Dep.of Maters., Professor
WAN Farong University of Science & Tech.Beijing, Dep.of Maters., Professor
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研究概要 |
1. 電子線照射によりステンレス鋼中には積層欠陥型転位ループが形成され、照射を継続すると積層欠陥転位ループ内に原子空孔型の積層欠陥四面体が形成された。電子線/Heイオン同時照射では、最初に積層欠陥四面体が形成され、その後この積層欠陥四面体はボイドの核となり、Heがボイド核を安定化されることが判明した。 2. Fe-(15-16)%Cr-16%Mn-0.2%C-0.2%N鋼の室温の降伏強度は400MPaで、伸びは60%以上の優れた機械的性質を示した。この鋼を473-673K、3dpaまで電子線照射すると、最初に転位ループが形成され、その後、473-573Kではボイドは形成されなかったが、673Kではボイドが核形成した。Mn濃度、24.5%のMn鋼を照射すると、473K-673Kの全ての照射温度範囲で高密度でボイドが核生成した。573Kではマトリックス、結晶粒界とも照射下で相が安定であった。照射温度573K以上では素地のオーステナイト相は変化しなかったが、素地中に微細な炭化物の析出が認められ,高温度では照射により析出物が促進されることが明らかになった。 3. W,Vを添加した低放射化Fe-Cr-Mn(W,V)合金を電子線/ヘリウムで二重照射した結果、転位ループやボイド等の2次欠陥が形成され、次第にその密度が増大した。特に、高温照射の場合に、ボイドは転位線上に優先的に形成された。また、この鋼ではCr、Mnの粒界シンクにおける偏析は検出されず,照射誘起偏析が抑制されることが明らかになり、W、V添加効果が偏析抑制に有効であることが示唆された。 4. Fe-Cr-Mn(W,V)合金を527-723Kで10dpaまで電子線照射した結果,(a)ボイドスエリング挙動は溶接熱影響部での耐照射特性は625K照射では優れた特性を示した。さらに高温度で照射すると微細なボイドが核形成し,ボイド抑制効果が顕著でなかった。 5. 同合金をlOdpaまで照射した後の結晶粒界におけるCr、Niの偏析はW,Vの添加しないFe-Cr-Mn合金と比較し、その偏析量は少ないがNiの濃化とCrの枯渇が認められた。 6. Fe-(13-16)Cr-(6.5-24.5)Mn-(0.02-0.2)C-0.2N-(0.3-0.5)Si合金について、熱処理及び電子線照射した結果、次のことが明らかになった。 (a) 低Mn含有のマンガン合金鋼の単一γ相はCr、C、N濃度を制御することによって得られることが明らかにされた。 (b) 本研究で開発された、15-16wt%Cr-15.5wt%Mn-(0.02-0.2)wt%C-0.2wt%N合金は、高強度で高い伸びを示す良好な機械的性質を有することが確認された。 (c) ボイド核形成はCrとCの濃度が増大すると抑制され、Fe-16wtCr-15.5wt%Mn-0.2wt%C-0,2wt%N合金鋼では照射温度473-673Kで完全にボイド核形成が抑制された。
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