研究課題
安全工学および燃焼学の進展に資する新しい知見を得ることを目的とし、東京大学およびポーランド工科大学が協力して研究をおこなっている。平成9年度の実績の概要を以下に記す。8月に、東京大学側から2名の研究者(土橋、鈴木)を、ワルシャワ工科大学に派遣した。初めに、これまでの双方の研究実績についての情報意見交換をおこなった(東大側:揮発性の低い可燃性液滴群中および可燃性個体粉じん雲中を伝ぱする火炎の構造、伝ぱ機構に関する研究結果。熱拡散、熱泳動現象に関する石ワルシャワ工大側:粉じん爆発の基礎研究としての燃焼限界および着火エネルギーの測定結果等)。続いて、不均質系火炎について実験をおこなった。東京大学側でしばしば用いている1-oictadecanol粉じん雲中を伝ぱする火炎挙動を、ワルシャワ工科大学側が有する測定装置(シュリーレンシステムと干渉計)で測定した。その後、ワルシャワ工科大学側の研究者により、さらに詳細なデータ収集がおこなわれた。11月に、ワルシャワ工科大学側から博士課程学生(B.SZATAN)が東京大学を訪問し、この1-octadecanolを用いた実験解析結果について報告した。議論の結果、揮発性の低い可燃性固体粉じん雲中を伝ぱする火炎は、均質な可燃性混合気中を伝ぱする火炎と比較して火炎帯が厚いなど構造に差異があることが確認された。1月に、ワルシャワ工科大学側からprof.P.WOLANSKIが東京大学を訪問した。これまでの結果をもとに、可燃性固体粉じん雲中に形成される不均質系火炎の構造について議論した。また、火炎伝ぱ機構についてもいくつかの仮説を出し合い、今後協力して検討してゆくこととした。さらに、揮発性の非常に小さい可燃性金属粉じん雲中を伝ぱする火炎の構造、伝ぱ機構についても議論した。