研究課題
安全工学および燃焼学の進展に資する新しい知見を得ることを目的とし、東京大学およびポーランド工科大学が協力して研究をおこなってきた。平成10年度の実績の概要を以下に記す。平成10年9月から10月にかけて、東京大学側から1名の研究者(平野)を、ワルシャワ工科大学に派遣した。初めに、双方の最近の研究実績についての情報意見交換をおこない、研究の進め方について話し合った。東大側:可燃性固体粉じん雲中(1-octadecanolおよび金属粉じん)を伝ぱする火炎の構造、伝ぱ機構に関する研究結果。特に粒子直径の変化、イオン電流の火炎各部での分布。ワルシャワ工大側:粉じん爆発の基礎研究としての燃焼限界および着火エネルギーを垂直型燃焼チューブを用いて測定した結果。シュリーレン法、干渉計および直接撮影による火炎構造の詳細検討結果(主にl-octadecanol粉じん)。平成11年1月に、ワルシャワ工科大学側から1名の研究者(Prof.P.WOLANSKI)が東京大学を訪問し、最新の研究結果について報告し、共同研究の最終まとめについて議論をおこなった。結果として、以下の点が明らかになった。・1-octadecanolなどの可燃性粉じん雲中を伝ぱする火炎の構造に関する点火炎構造、予熱領域の厚さ、反応領域の厚さ、・1-octadecanolなどの可燃性粉じん雲中を伝ぱする火炎の伝ぱ機構に関する点火炎伝ぱ速度、熱伝達機構これらの結果より、可燃性固体粉じん雲中を伝ぱする不均質系火炎は、均質な可燃性混合気中を伝ぱする火炎と比較して火炎帯が厚く、その分伝ぱ速度が小さくなるなどの特徴があることがわかった。これらの知見は、不均質系火炎の構造、伝ぱ機構を理解する上で大変重要であり、この共同研究により不均質系火炎の研究の大きなレベルアップがはかれた。
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