研究概要 |
(1)遠赤外領域の基礎技術の開発研究 I)パルス動作する従来のジャイロトロンに替わる小出力CWジャイロトロンを両大学で開発し,周波数及び出力の安定性を計り,宇宙観測用及びESR用光源としての高クォリティ出力を得た.また,ジャイロトロンの広い分野への応用のために,出力の周波数変調及び振幅変調を成功させた。II)YBCO-BiO系酸化物高温超伝導体を用いたミリ波サブミリ波領域の高感度低雑音受信器の開発を行った。III)準光学伝送系によりジャイロトロン出力をガウシアンモードに変換して高効率で伝送するシステムを製作しジャイロトロン出力の多方面への応用を可能にした。 (2)ヘリカル装置LHD(核融合科学研究所)の散乱計測 核融合科学研究所との協力により,ジャイロトロンを光源とするサブミリ波散乱計測装置を同研究所のLHD装置に設置し,低周波密度揺動の測定を行うための準備を完了した。また,同研究所との協力によりプラズマ計測用準光学ジャイロトロンの開発をおこなった。シドニー大学は,これらの研究に必要なジャイロトンの設計の面で貢献した。 (3)サブミリ波ESRの研究 ジャイロトロンを光源とし,パルス磁場発生装置を用いたサブミリ波ESR装置を開発し,Zero splitの大きい物質のESRの研究,ジャイロトロンの高出力を生かしたESRの非線形現象の研究を行った。また,Fe-SiO_2の磁性の研究をサブミリ波ジャイロトロンを光源とするESR測定によって行った。福井大学で行った実験の結果を両大学が協力して解析した。 (4)サブミリ波ジャイロトロンを光源とする高品質セラミックの焼結 福井大学において,CW動作するサブミリ波ジャイロトロンを用いたセラミック焼結装置を開発し,企業との協力により,高品質セラミックの開発を行なうための準備を完了した。 (5)サブミリ波ジャイロトロンの新医療技術への応用研究 ジャイロトロン出力を高効率伝送し,局所加熱による新医療技術開発のためのカテーテルの開発を行った。 (6)ジャイロトロンを光源とする遠赤外領域開発研究の総合的推進に対する検討と3年間の研究成果を取り纏め,今後の遠赤外領域開発研究を展望し,福井大学,シドニー大学の寄与と将来計画についての検討を行った。
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