研究課題
高度情報化社会に重要な視覚情報処理を、人間の網膜と脳の初期視覚機能に範を求めて、デバイス・回路・ネットワークの研究を進めてきた。併せて、将来の脳機能の超高集積回路(LSI)化の基礎技術を構築することを目指している。網膜機能については、外網膜(視細胞、水平細胞、双極細胞)の機能を実現するための基本デバイス・回路の検討をした。視細胞にはフォトダイオードを用い、水平細胞にはMOS構造のチャネルを用いた。両細胞の出力の差を差動対で取り出し、これをもって双極細胞の出力とした。これにより、任意の方向に対してエッジ検出の機能が得られた。また、MOSチャネルのゲート電圧を変えることにより、画面が明るい時にはチャネル抵抗が大きくなって空間分解能が上がるという、適応機能が得られた。さらに、個別配線がないため、複雑な配線問題も回避できた。さらに、動き検出機能について、下等動物のモデルを基にして基本回路を考案し、その一次元機能を計算機(SPICE)シミュレーションによって確認した。脳の入り口における特徴抽出機構の自己組織化形成については、その動作を基本回路を基にして原理的に確認してきた。さらに、大規模ネットワークへの拡張が可能な基本ネットワークを考案・試作し、その拡張性を確認した。さらに、多層ネットワークの配線にLSIの多層配線技術を有効に利用できることもわかった。慶北大学では、上記の網膜機能を大規模化したLSI設計を行った。また、相互に訪問して、設計、試作、評価について検討した。
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