研究概要 |
上海大学・材料科学系の張志林教授、蒋雪茵教授の研究グループは、N,N′-diphenyl-N,N′-bis(3-methylphenyl)-1,1′-biphenyl-4,4′diamine(TPD)を正孔輸送層、8-hydroxyquinoline aluminium(Alq3)を電子輸送層、ITO(Indium-Tin Oxide)透明電極、及びMg-Agを正、及び負の電極とした有機電界発光素子を対象に研究を進めているが、正孔輸送層にrubreneを添加することによって素子寿命、安定性及び効率が著しく改善された。最大の輝度で13,690cd/m^2(アンドープに比べて1.5倍)、輝度の半減期で1桁以上(5,000時間を越える)、効率で1.75倍(2.35lm/W)と大幅に改善された。 上海大学・材料科学系の張志林教授、蒋雪茵教授の研究グループは、本研究の実施期間を含めて5年間、我々の研究グループと共同研究を行ってきたが、活発な研究活動を通じてこの分野で大きな実績を残し、第一人者である。これらの研究で国家自然科学基金(中国)を受けている。 芝浦工大の長友らの研究グループでは、ガラス転移温度の高いポリビニルカルバゾール(PVCz)をホスト材料にペリレンを色素として添加し、発光層とした有機電界発光素子を対象とした。ペリレンのドープ量を変えることによって発光色を可変し、正孔輸送層、電子輸送層、発光層の機能を積層した膜にそれぞれ分担させた素子寿命の改善と、"光"と"キャリア"の閉じ込めによる発光効率の向上を目指した。光の閉じ込めとキャリアの閉じ込めを行うためには種々の高分子材料を含む有機材料のエネルギー間隙と屈折率の測定を行った。 有機材料のエネルギー間隙の測定(LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位の測定)はサイクリックボルタムメトリー法を用いて行った。機能分離をして積層した素子では大幅に効率を向上させることが出来た。
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