研究課題
硬ぜい材料として代表的なBK7ガラスのシェアモード研削を行った(切込量:2μm、ホイール回転:470m/min、テーブル送り速度:150mm/min)。同条件で繰返し研削を行った結果、Rrms100nm以下の表面粗さが得られ、法線・接線研削抵抗値が、研削量の増大にかかわらず、ほぼ一定に推移するという知見、を得た。このことは、従来の研削理論の前提とは、全く異なることを示している。さらに以下のことが明らかとなった。(a)研削条件を変化させた場合にも前項の知見が得られた。また、研削抵抗値は、きわめて再現性の高い値であり、ほぼ±1N以内に再現できる。(b)段差研削実験により、設定切込量/実質切込量≒1である。また、加工層深さは0.5μm以下であることが明らかとなった。(c)BK7ガラスのみならず、極低膨張ガラスセラミックス、単結晶シリコンなど多種多様な材料に対しても、前項の知見が得られることが明らかとなった。しかしながら、切込量10μm以上の場合に上述の知見は得られない。その原因を以下のように究明した。すまわち、切込量が大きくなると、ホイールと工作物との接触面積が増大する。したがって、研削液の流入が妨げられて、発熱によるホイール作用面の劣化が起こるものと推定した。そこで、40kHz超音波振動複合研削法を着想し、接触面への研削液の流入の促進を試みた。その結果、大きな接触面積をもつカップホイールの場合にも、上記研削加工限界値が得られた。これは本論の仮説に基づいて、超精密研削加工の工学的、かつ工業的応用範囲を、理論的体系として拡張させ得ることを検証したことになる。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)