研究課題
日本の南九州とアメリカ南部は類似した気候環境を有し、農業生産を取り巻く自然環境条件は類似していて、農業生産並びに農業生物遺伝資源の開発・利用・保存に関して、類似した問題点を有している。本研究は、農業生物遺伝資源の開発・利用・保存に関するアメリカ南部の暑熱地帯と南九州の西南暖地とを比較することを目的として、家禽及び肉用牛遺伝資源の飼養・保存状況を調査し、これら遺伝資源の、農業経済学的評価も行った。また、家畜遺伝資源の活用形態の大規模化と地下水系を含む地域環境の汚染の実態についての討議を行い、家畜遺伝資源の調和的利用の必要性が示唆された。また、遺伝資源の評価の手段として、鶏、ウズラおよび肉用牛より、DNAをサンプリングし、フィンガープリント、AFLP、RFLP解析を行い、日本とアメリカの遺伝資源の遺伝子レベルでの違いを解析した。また、食肉遺伝資源の生産能力の指標の一つとして、3-メチルヒスチジン法により、筋肉蛋白質代謝回転速度を比較検討した。その結果、筋肉蛋白質代謝回転速度は、遺伝的要因により支配されていることが判明した。有用遺伝資源の保存に関する新技術の開発と導入についての情報交換を行い、特に、凍結胚、凍結配偶子の保存・活用システムについての情報交換や、集団の適正な保存のために必要な集団の有効な大きさについての意見交換を行った。
すべて その他
すべて 文献書誌 (4件)